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安曇野の貴重な土蔵が消失しました [マチヅクリ]

昨日6月11日付け信濃毎日新聞に掲載された記事。
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安曇野市穂高のまちなかに建つ土蔵が解体されたというニュース。

明治初期に建築されたという、かなり規模の大きな"都市型土蔵”。
場所は穂高のまちなか、近世には宿場町保高宿として栄えた街道沿い。
呉服屋を営んでいた上條家という商家の土蔵として建てられたとのことで、
昭和50年(1975)に現所有者である八十二銀行が敷地とともに取得して、
穂高支店の文書保管庫して現在まで活用され続けてきました。

記事にあるように、その土蔵が解体されてしまったのです。
住民の、おそらくほとんどの人が工事の始まるまでその事実を知ることもなく、
数日前、突然に工事が始まり。。。

あまり知られている話ではないのですが、
穂高のまちなかには土蔵が今なお数多く残り、
少し痛みの目立ち始めたものもあるなか、
それでもまだ現役で活躍し続けている蔵も少なくありません。
下は穂高のまちなかに現存する土蔵の一部。
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件の八十二銀行穂高支店の土蔵もまた、
その現役で活躍する一棟、、、だったはずでした。

たしかに下屋をはじめ主に屋根部分に老朽化の兆候が見られていて、
軒先が波打つような状況のなか、柱を追加して応急処置していました。
解体にいたる理由はまさにその老朽化であって、
銀行を利用する顧客に万が一のことがあってはいけないということで
取り壊してしまえとなってしまったようです。

ただ、、、それにしても残念でなりません。
明治初期建築とはいえ文化財指定を受けた建物というわけでもなく、
法的には所有者が解体することになんら問題はないわけですが、
同蔵は穂高のまちなかの中心地にあり、
宿場町の面影を残す町並みを代表する建造物のひとつでもありました。

まちなかだけでなく安曇野市内で比較しても規模は相当大きく、
非常に立派な立ち姿であったのですが、
もはやその雄姿を拝むことは叶わぬこととなってしまいました。

銀行には、上にも書いたようにもちろん所有者なりの解体理由があったわけです。
老朽化して危険な状態になっているものをほうっておけないというのも
当然ながら理解できる話ではありますが、ただそれにしても。。。

繰り返しますが、穂高のまちなかには未だ数多くの土蔵が残っています。
それらはみな同地の民家などが所有する蔵で、老朽化したものも多いです。
でも、近年これらの蔵が解体されたという話は耳にされず、
それどころか外壁を修復したり、屋根瓦を葺き直したりと
まだまだ活用しようとする所有者の住民がたくさん居られる状況なのです。
そんななか、地域社会を支える企業の(あえて言わせてもらいますが)
あまりにドライな解体決定は、本当に残念でなりません。

ビジネスライクに考えるということならそれもひとつの論理でしょうが、
同行には「八十二文化財団」という文化財の調査保全に寄与するための
立派な組織が存在しているわけで、この財団側で解体される前の蔵について、
解体すべきか保存すべきかの議論なり検証が行われることがなかったのか。
解体に至る内部事情の経緯までは知る由もありませんが、
文化財指定されずとも地域社会のなかで高い歴史的価値を持っていた
立派な土蔵があっさりと壊されてしまった事実は変わりません。

新聞記事にある建築士の大先輩は
「文化財でなくても古くて勝ちある建物については
壊す前に市民が状況を知り、議論できる仕組みが必要」と訴えています。
新しくものを作るとき、それが地域社会に溶け込めるものであるかどうかを
審議するために、現在は景観条例や景観計画が存在しています。
それはつまり建造物の所有者は個々にあっても
その外観については住民や地域社会の共有物であるという発想なわけですが、
既存の建物を消失させる行為についてもまさに同質の考え方を
当てはめなくてはいけないと思います。
たとえ最終的には所有者の意思決定が尊重されなくてはいけないとはいえ、
せめて住民みんなでその価値を共有する取り組みが大切ではないでしょうか。
ましてや、地域社会に貢献することを目的と標榜する
文化財団を所有する地方銀行の行為であればなおさら。

とにかく、残念です。
せめて今回のことを教訓として、まちづくりと建物の存在価値について
住民が考える仕組みづくりが進展することを願うばかりです。

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これはまちなかガイドウォークの様子。
ツアーの必須立寄りポイントがひとつ、消えました。
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